轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はだかぎ

裸木

豊島 与志雄

「新潮」1926(大正15)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,049 字 · 33 页

青空文庫

果して妻を愛してたかどうか、それさえも分らなくなってくる……。何もかも生きてるうちのことだ。」

佐野はぎくりとした。

「え、医者が何か云ったのかい。」

「医者……。」

「危険だとか……何か……。」

「何も聞かないよ。」

「そうだろう。そんなに悪い筈はない。」

「誰でもそう思うものだよ。僕もそう思っていた。愈々いけなくなる前、妻は一寸元気づいていたよ。それが、これなら大丈夫だと思っていると急にいけなくなった。眼に見えてじりじりと、深いところへ落ちこんでゆくようで、どうにも出来やしない。」

「…………」

佐野は武田の顔を見つめた。

「そりゃあとても堪らない気持だ。」

「…………」

その時、不思議なことが佐野に起った。或る力強い何とも云えない皮肉な快感から、彼はぼんやり微笑んでしまった。それから始末に困った。

彼は立上った。

「大丈夫だ。来てみ給い。」

病室の方へ歩いていった。武田はついて来た。

電燈の覆いを取ると、ぱっと明るくなった。

「まあー、何をなさるの。」

「なに大丈夫だ。」

真赤な顔だった。額は汗ばんで熱かった。呼吸は静かだった。心持ち凹んだ眼のあたりを、無意識にしかめていた。