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はだかぎ

裸木

豊島 与志雄

「新潮」1926(大正15)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,049 字 · 33 页

青空文庫

蒼ざめて雀斑の浮いて見える敏子の顔が、彼には珍らしかった。それよりもなお、縁側に蹲って涙ぐんでる武田の姿が可笑しかった。肩をまるめて、泣いてるような恰好だった。

それから間もなく、武田は婚約した。

「いい赤ん坊を拵えてやるんだ。」

ちっともそれらしくない陰欝な顔で武田は云った。

「ははは、僕んとこと競争してみ給い。」

佐野は愉快になった。そしてその話を敏子にした。敏子は笑わなかった。

「やっぱり、わたしをいくらか、想っていらしたんじゃないかしら。」

「ばかな、自惚れもいい加減にしないか。」

佐野は何かしら、生活の自信というようなものを持ち初めていた。愉快そうに笑った。