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らしんのにょせん
裸身の女仙
野村 胡堂
「朝日」1932(昭和7)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,437 字 · 29 页
「殿様、このお鳥を馬鹿に遊ばすのは宜しゅう御座います。山猿と一緒に育ったことも、銀の角を生やして、裸体になって飛廻ったことも嘘とは申しません、が、何んの罪もない源吉を殺したり、私の親の悪口を仰しゃっては我慢がなりません」
「何?」
お鳥の言葉は、切々として肺腑に喰い入りますが、郷太郎は起き上られぬまま、負け惜みの眼ばかり光らせます。
「私は言わば金で売られた身体で、三代相恩の家来でも、殿様の奥方でも御座いません。二年越しのお仕込みはお仕込みとして、この上我慢がなりましょうか」
「…………」
「私はもうお仕込を頂かなくとも宜しゅう御座います。此場から御暇を頂きます、殿様、そんな顔を遊ばすものでは御座いません」
「無礼者ッ」
「女から愛憎尽かしをすると、下々の者は、もう少し潔よい事を申します。殿様、もうお目にはかかりません」
「待て、待て女」
安城郷太郎の声を背後に聞いて、お鳥は立ち上りました。
「こんな窮屈なところに居るより、私は矢張り碓氷峠へ帰って、裸体で暮らしましょう。お友達だった猿や鹿が、まだ何匹かは生きて居ましょう」
涙ぐましい声になって、つと立ち上ると、何時の間に忍び寄ったか、後からガバと組付いたのは下男の鹿造、