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おやがすてられるせそう
親が捨てられる世相
「週刊朝日 春季増刊号」1952(昭和27)年3月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,326 字 · 15 页
人生の希望とか、孤独というものと半生の相当に壮烈な長い争いをつづけた人でも、老後ということになると、対処の心構えに安定を欠かざるを得ないようである。
老後というものは、どうやらそれほど痛切なもののようだ。ところが、それは当人にとってのみの痛切な心境であって、これに対する相手方、つまり若い家族の方は全然その痛切なところに理解がない。これは宿命である。老人の心境にイタワリがあるような若夫婦などというものは、そろそろ老後の方に近づいた私の目から見ても、なんとなくその物分りの良さが薄気味わるくて、つきあいにくいような気がするのである。人間には年齢の生活があり思想がある。基本的人権同様に、これをハッキリと認めてかかる立場がなければいけないだろう。
親が子を育てるのは一般に本能的で自発的な愛情によるものだが、子供が親を養うのはモット義務的で、どうしても親の方が歩がわるい。
子供を育ててやったことは、恩にきせる性質のものではないようだ。どの人間でも、子供の時は親に育てられ、自分が親になるとその子供から至当な愛情の報いをうけないというこれも定めのようなものだ。報われるものは義務でしかない。