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したしくけんぶんしたアイヌのせいかつ
親しく見聞したアイヌの生活
宮本 百合子
「女学世界」1918(大正7)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,736 字 · 6 页
一体にアイヌは信心深く、山に行って猟をする時も畑を作る時も、地面を掘る時も、先ずイナオを立てて私共に飲水をお与え下さいとか穀物のよく実るようにとか云って、熱心に祈祷をいたします。けれども、イナオを取扱ったり祈祷をするのは、総べて男子の仕事で、婦人は決して神事に携る事は出来ませんから、祈祷の言葉や神様の事をよく知っているのは男ばかりで、婦人はこれについて何も知る事は出来ません。で、家を持つと良人はまず男の子の生れるのを喜びます。若し男の子がないと、イナオを立てて神様をまつるものが絶えるのを恐れるからでありましょう。男子でなくては、神様をまつれないという所は、内地人の昔の有様と似ています。
斯様に男の子の生れるのを喜ぶ風がありますが、また婦人から云えば、却って女の子を欲しがるのであります。それは男子は神様に仕えるのが第一で、主になって働くのは婦人ですから、親は働きの助けに女の子を欲しがるのであります。
やがて子供が相当の年頃になると、男の子は神様の祭りや祈祷の言葉を教えられたり、女の子は機織り、刺繍などを教えられます。何れも古風な仕つけ方であります。