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おやこのあいのかんせい

親子の愛の完成

羽仁 もと子

「思想しつつ生活しつつ 上巻」1918(大正7)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,921 字 · 12 页

青空文庫

子供が大きくなって、学問武芸の教育を受けるようになっても、学問の先生、武芸の先生とむかしはそこに一人の先生があるのでした。いまの学校は、受持ちの先生は一人でも、それは学校に属し、校長に属し、学年によってかわり、または学科によってかわるというようなわけで、師弟のあいだの個人的情味もまたむかしのようにはゆかないのです。

父親は職業に忙しくて、一日一度の晩の食事も、子供らと一緒にすることができないこともたびたびであり、中学校女学校時代の子供になると、学校から帰るとそれぞれに勉強があって、母の仕事を手伝うようなひまも少なく、母の方でもその身のまわりに手がかからなくなった子供に、別に世話をやいてやるすべもなくて、ついはなればなれになっているうちに、息子や娘が母を時代おくれだと思い、父を俗物だと考えるようになり、友だちとは楽しそうに興ありげに熱心に話をする息子が、両親にはむっつりして、いうことがない。そういう例がいまの社会にどんなにたくさんあるでしょう。

子供が結婚して家をもち、親がますます老いてゆくときに、しぜんにそなわる親と子の情愛は、いうまでもなく心のうちに燃えていても、それを通ずる道がないような悶えをおたがいに経験して、そこにいろいろの悲しい誤解も生じるようなわけになります。