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はなしのたね
話の種
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页
さればと云って鉄の代りに他の金属を用いては高くなる。これには前述の二十三プロセントニッケル鋼を羅針盤の近傍必要の箇所に使ったらよいというので、目下ブレメンで新造中の船にはこれを採用するはずになっている。
(明治四十年九月三日『東京朝日新聞』)
二
罪人を発見する器械
近頃サイコメーターすなわち測心器とでも名づくべき器械を作った人がある。その人の説によると、人体に適度な弱い電流を通し、これを鋭敏な電流計に接続しておくと、その人の心の状態によって電流の強さが変り電流計に感じる。非常に驚いたり、また恐れたり、著しい心の劇動があると、そのために筋肉や血行に急変を起し、即座に電流が変るから電流計の鏡が著しく動く。この事を利用して重罪嫌疑者の審問に使おうというのがいわゆる測心器の目的であるそうな。先ず嫌疑者の両の手に器械の電極をシッカリ握らせておいて、色々の問を掛ける、そのうちにギックリ胸にこたえる事があると器械の鏡から反射する光線がピクリと動く。いくら平気を粧うて胡麻化そうとしても駄目だという事である。この器械がいよいよ成効するかどうかは未だ判らぬが、とにかく面白い発明である。