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はなしのたね

話の種

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页

青空文庫

その時ブリストル旅館から英京のバッキンガム宮へ通話を申込んだものがある。交換手は「七十五番ですからも少し御待ちなさい」とやると失望の嘆声が聞えてやがて「アメリー女皇から英皇へ御話しがしたいのだが」と云った。そこで交換局では畏って早速接続すると女皇陛下は御満足で、ものの小半時間もゆるゆる後対話があった。他の電話申込人等はそんな事とは知らず、待てども待てども順番が来ぬ、殊にパリの銀行家など一刻を争う経済上の交渉をひかえているので気は気でない。時の立つうちにどんな事が起ろうかと青くなり赤くなったという話である。

(明治四十一年二月四日『東京朝日新聞』)

六十四

煤煙問題

ロンドン地下電鉄会社の発電所で焚く石炭の煙がウェストミンスターの町へ掛かって損害を与えるというので、同市会から会社を相手取って訴訟を起した。が審理の結果、同会社の煙突から出る煤煙は十分な設備によって清められたものであって、そんなに害毒を生ずるような悪い煙でないという事になり、この訴訟は却下になったそうである。

面白い電灯

近頃室内に取りつけまたは卓上に置く電灯に面白い自働装置を附したものが工夫された。