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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页

青空文庫

ジャーナリズムと云えば、悪くすると雑文を書いて金をかせぐ主義だと常識は思っている。勿論少し考えて見ると、ジャーナリズムは何かそういう人間態度としての主義のことではなくて、一つの社会現象のことだ。ジャーナリズムは又一種の常識によると、商品としての言論のことだと考えられているが、之は資本主義的な現象の内を匍匐するからであって、決してそれの歴史的認識ではない、と云ったような具合にである。

認識という言葉も亦、吾々は、当然哲学的に用いなければならぬ。と云うのは、哲学宗派の専門家気取りの術語としてではなく、生きた民衆の言葉として用いるのであるが、併し之を或る一種の良識と洞察との下に、洗練深化することによって、もっと自由な広範なものにまで高めて使わねばならぬと云うのである。民衆の便宜的な常識が、事実上の習慣として、そんな使い方をしていなくても、構わないのである。そういう使い方を示すことによって、民衆が模糊として持っている観念感情がハッキリして来て、なる程そうだと思い当るようであればいいのだ。ヘーゲルが刻苦して選定した一つ一つのカテゴリーは、皆こういう性質を持っていた。