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ごろのろんり
語呂の論理
中谷 宇吉郎
「中央公論」1938(昭和13)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,587 字 · 14 页
その点になると、われわれは誠に幸いである。民族の血の純化などということには何の心配もないのであるから、「日本物理学」などというものを慌てて作る必要もないし、また幸いなことには、そんな噂もきかないで済んでいる。ところが他の学問の方では、例えば医学などの方では、この頃「日本医学の確立」などということがいわれているそうである。専門ちがいのことであるから、その内容は知る由もないが、多分それは、日本人の体質に応じた治療学とでもいうのであろう。まさか日本意識に眼覚めたる医学などというのではないと思う。独逸では魚は余り喰わないが、それは魚が漁れないからで、何も日本でもその真似をして魚を喰わないようにしようなどと説く人もなかろう。
「天は西北にたらず、地は東南に足らず」という風な科学がもし出来たら、よほど面白いものが出来上るにちがいない。尤もこれは少し冗談であるが、それほどでなくても、現代の自然科学はいわばギリシア人の思考形式から発達した学問であるとはよく言われていることである。東洋の特に我国のように長い間比較的孤立して特殊の文化をもって来た国に、特殊の科学が誕生する可能性はないことはない。