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いかにどくしょすべきか
読書と人生
三木 清
三木清『読書と人生』。同一底本的分册已合并为一书。收入:如何に読書すべきか、軽蔑された翻訳、書物の倫理、西田先生のことども、ハイデッゲル教授の想い出。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,486 字 · 57 页
私は哲学における深さというものは結局人間の豪さであると考える。深さというものは模倣し得るものでなく、学び得られるものでもない。西田哲学の深さは先生の人間的な豪さに基いている。学問というものを離れて人間として考えても、先生は当代稀に見る人物である。今日の日本において、各界を通じて、豪い人物と感心するのは西田先生と幸田露伴先生とである、と或る友人が私にいったことがある。
私の学生時代、先生はいつも和服で靴を履いて大学へ来られたが、その様子はまるで田舎の村長さんか校長さんかのようであった。その先生が教室ではマイノングの対象論とかフッサールの現象学とか、その頃の日本ではあまり知られていなかった西洋の新しい哲学について講義されるのである。そのように先生には極めて田舎者であると共に極めて新しいところがあった。マックス・ヴントは、ソクラテスはアッチカの農民の伝統的精神を代表したといっている。そのソクラテスにはまた当時外国からアテナイに入って新しい学問として流行したソフィストに似たものがあった。西田先生の哲学は日本においてソクラテスのような地位に立っていると見ることもできるであろう。