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どくしょへんれき

読書遍歴

三木 清

「文芸」1941(昭和16)年6月~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,120 字 · 72 页

青空文庫

そのために私もこの本を精読することができた。アウグスティヌスの面白さは西田先生からきかされていたが、ハイデッゲル教授の講義によって興味をそそられ、私もその哲学的論文をラテン語の辞書を頼りに読んでいた。それを知って、下宿していた家の主人が私のためにアウグスティヌスの『告白録』を一緒に読んでくれた。私は牧師の家に下宿していたのである。ティンメという人で、二、三の著書もあり、ルーマニアあたりまで講習に出掛けるということであった。どういうものか私は宗教に縁があって、ハイデルベルクでは石原謙氏の後を継いで、レンメという老教授の家に下宿していた。アウグスティヌスを少し深く勉強してみたいと思って、その頃パリに移っていられた小尾範治氏に頼んで、ミーニュ版の中の『三位一体論』などを送ってもらったこともある。考えてみると、マールブルクにいた間は、意識してやったことではないが、これまで私の最も多くキリスト教的著作を繙いた時であった。ティンメ一家はハイレル一家と親しく、しぜんハイレル教授の話の出るのを聞くことが多く、私もすでに京都にいた時波多野先生から教授の著書について教えられていたので、教授の『カトリチスムス』