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ゆずりはらまさこさんについて
譲原昌子さんについて
宮本 百合子
「民情通信」第11号、1949(昭和24)年4月譲原昌子追悼号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,940 字 · 4 页
わたしたちは皆単に、譲原さんはひどく疲れている上に馴れない、放送局のなかは不自然に暖かいからそれでそんなに汗がでるのだろうと思っていた。わたしも羽織をぬぐほどその狭くるしい放送室は、あつくて息苦しかったから。二人で往来へ出て、田村町の停留場のところでちょっと立ち話した。譲原さんは、やっと汗のおさまった顔をして、今度は放送の日までに一遍わたしのところへ来て、打合せをしておこうという話になった。
うちへ来てくれた日は、寒い日だったけれども、譲原さんはやっぱり小鼻に汗を出していた。その時もわたしは、譲原さんの病気がどんなに悪いかは知らなかった。譲原さんは自分の病気のことをちょっと話して、何しろ少しでも栄養をとろうと思えば、住む場所をえらぶゆとりがなくなるから、今いる田村町のアパートも身体にわるい条件なのは分っているけれども、なかなか動けないといった。それを譲原さんは、あっさりとした口調で、わたしたちみんながこの日頃のやりくりについて話すときと同じように話した。感傷を訴えもしなかった。だからわたしは、その日も譲原さんの身体のことよりも、放送に気をつかわせまいとして、お互いにらくな気分で話しましょうよということを強調してわかれた。