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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

豊島与志雄『豊島与志雄童話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:お月様の唄、お山の爺さん、影法師、キンショキショキ、金の目銀の目、銀の笛と金の毛皮、コーカサスの禿鷹、正覚坊、狸のお祭り、手品師、天下一の馬、天狗の鼻、泥坊、天狗笑、長彦と丸彦、ひでり狐、不思議な帽子、彗星の話、街の少年、山の別荘の少年、夢の卵、雷神の珠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 页

青空文庫

森のなかに石でこしらえられて、兵士たちだけがばんをしている、おそろしいさびしい牢屋でした。エキモスはそこにとじこめられ、七日たてば、舟にのせられ、川をくだって海にいで、海をとおくわたって、人の住んでいないちいさな島にながされるのでした。

けれど、エキモスはさほどかなしみませんでした。なんにもわるいことをしたのではありません。今にだれかたすけにきてくれるような気がしました。

牢屋には、ちいさな窓が一つついていました。その窓からのぞくと、森の木がみえます。木のしげみをとおして、むこうに野原がみえます。エキモスは、山で羊かいをしていたときのことを、なつかしくおもいだしました。

――羊たちはどうしてるだろう。

そして毎日、その窓から、森の木やむこうの野原をながめてくらしました。だが、野原には人のかげもみえません。だれもたすけにきてくれるものはありません。

三日たちました。四日たちました。だれもきてくれません。五日……六日……七日……。だれもきてくれません。森のなかはしいんとしていますし、森のむこうの野原には人かげもありません。

八日目の朝、いつも食事をはこんでくれる番人が、エキモスをかわいそうにおもってか、こういいました。