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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
豊島与志雄『豊島与志雄童話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:お月様の唄、お山の爺さん、影法師、キンショキショキ、金の目銀の目、銀の笛と金の毛皮、コーカサスの禿鷹、正覚坊、狸のお祭り、手品師、天下一の馬、天狗の鼻、泥坊、天狗笑、長彦と丸彦、ひでり狐、不思議な帽子、彗星の話、街の少年、山の別荘の少年、夢の卵、雷神の珠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 页
神殿の前にいろんなごちそうが並んでいますところに、大きな狐が一匹うずくまっていて、ぺろぺろごちそうを食べています。
「おやあ……太い畜生だ」
肴籠と酒徳利とをそこに置いて、げんこつを握り固めながら、社の上に飛び上がりざま、狐に飛びかかっていきました。と、狐はひらりと身をかわして、横っ飛びに森の中へ逃げていって、見えなくなってしまいました。
徳兵衛はしばらくぼんやりしていましたが、思い出したように、肴と酒とを神殿の前に供えて、それからじっと考えこみました。
「またあいつが戻ってくるかも知れない。ちょっと番をしていてやろう」
そこにかがみこんで待ち受けましたが、狐はもう戻って来ませんでした。するうちに、うまそうなごちそうや酒の匂いが鼻についてきて、辛抱しきれなくなりました。
「狐でさえ食べてるんだから、おれが少し頂戴したところで、まさか罰は当たるまい」
そう思って、ほんの少しのつもりで手を出したのが始まりで、だんだん大胆になってきて、ごちそうをやたらに食い、酒をやたらに飲みましたので、腹はいっぱいになり酒の酔いは廻って、いい心持ちにうとうと居眠ってしまいました。