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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

豊島与志雄『豊島与志雄童話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:お月様の唄、お山の爺さん、影法師、キンショキショキ、金の目銀の目、銀の笛と金の毛皮、コーカサスの禿鷹、正覚坊、狸のお祭り、手品師、天下一の馬、天狗の鼻、泥坊、天狗笑、長彦と丸彦、ひでり狐、不思議な帽子、彗星の話、街の少年、山の別荘の少年、夢の卵、雷神の珠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 页

青空文庫

いつのまにか、矢車草の花をつけた森の精が出て来て、王子を城の庭まで送って来ました。

二

それから王子は、月のある晩はたいてい白樫の森の中に行って、森の精達と遊ばれました。その上千草姫からいろんなことを教えられました。森の精達は、もとは野原に住んでいる野の精でありましたが、野原が開かれてたんぼにされてしまいましたので、今では森の中に隠れてしまって、森の精となったのでした。そして千草姫は、新しい森の精と元からの森の精との女王となっているのでした。それで姫は元の野原のことも、今のたんぼのことも、前からすっかり知っていました。今年の夏にはひでりがあるとか、秋には洪水があるとか、そういうことを前から言いあてました。王子はそれを聞かれると、いちいち父の国王に申し上げました。国王は笑われましたが、王子があまり何度も申されますので、おしまいには試みにその用心をされました。

夏にひでりがしましても、山奥の泉から水が引いてありましたので、百姓達は少しも困りませんでした。秋のはじめに洪水が出ましても、前から川の堤が高く築かれていましたので、少しも田畑を荒しませんでした。