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ぶたきちとヒョロこ

豚吉とヒョロ子

三鳥山人

「九州日報」1926(大正15)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页

青空文庫

もうとても助からぬ。捕まったら殺されるに違いない」

と、豚吉はヒョロ子の背中に掴まって、ブルブルふるえながらオイオイ泣き出しました。

ヒョロ子も涙を流しながら、

「ほんとにそうです。けれども私たちが結婚式の晩に村を逃げ出しさえしなければ、こんな眼に会わなかったでしょう。お父さんやお母様や親類の人達に御心配をかけた罰でしょう」

と云いました。

「そうじゃない」

と豚吉は怒鳴りました。

「あの橋を無理に渡って、こんな馬鹿ばかり居る町に来たからこんな眼に会うのだ」

「そうじゃありません。音なしくあの見世物師の云うことをきいて見世物になっておれば、こんなことにならなかったのです。檻を破ったり何かした罰です」

「そうじゃない。あの無茶先生に診せに行ったのがわるかったんだ」

「そうじゃありません。あの無茶先生がせっかく治してやろうとおっしゃったのを、逃げ出したからわるいのです」

「そうじゃない。お前がおれをこんなに背中に結び付けて、屋根の上を走ったりするもんだからこんな騒ぎになるのだ。お前は馬鹿だよ」

「馬鹿でもほかに仕方がありませんもの……」

「ああ、飛んだ女と夫婦になった」