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ぶたきちとヒョロこ
豚吉とヒョロ子
三鳥山人
「九州日報」1926(大正15)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页
宿屋の主人が表に来て見ますと、無茶先生は相変らずパイプを啣えながらプカリプカリと煙を吹かしています。そうして、立っている人々も自分の顔が黒くなったのは知らずに、みんな無茶先生や豚吉やヒョロ子の黒くなった顔を面白そうに見ています。
宿屋の主人は驚き呆れて、開いた口が閉がらぬ位でしたが、やっと落ち付いて無茶先生に向って、
「これ、黒ん坊の魔法使い。お前は何の怨みがあって、おれのうちの番頭をあんなに黒ん坊にしてしまった」
と叱りました。
無茶先生はその時ニヤニヤ笑いながら、宿屋の主人の顔を見て云いました。
「貴様のうちに泊めてくれないからだ」
「何、泊めてくれないからだ」
「そうだ。だから泊めてくれるまでここを動かないつもりだ」
と、又白い煙を沢山に吹き出しました。主人はこれをきくと大層腹を立てました。
「馬鹿なことを云うな。おれのうちは貴様みたような生蕃人や、そんな片輪者なぞを泊めるようなうちじゃない。出てゆけ出てゆけ。泊めることはならぬ」
「アハハハハハ」
と無茶先生は笑いました。
「今に見ていろ。きっと、どうぞお泊り下さいと泣いて頼むようになるから」
「何糞。