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ぶたきちとヒョロこ

豚吉とヒョロ子

三鳥山人

「九州日報」1926(大正15)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页

青空文庫

そこで無茶先生は今度は左の拳骨を固めて左側から横ッ面をポカーンとなぐりつけますと、眼をまわしていたお神さんはパッと眼をさまし、そこいらをキョロキョロ見まわしておりましたが、

「アラ。私の頭の痛いのが治ったよ。まあ、何という不思議なことでしょう。ほんとに無茶先生、有り難う御座いました」

と大喜びでお礼を云って降りて行きました。

この様子を見ていた宿屋の主人は、もう無茶先生のエライのに肝を潰してしまいました。

「ああ、ビックリしました。先生は何というエライお方でしょう。それではお序に私の息子の病気も治していただけますまいか」

「フーン。貴様の息子の病気は何だ」

「ヘエ。私の息子の病気は、いつもお腹が痛いお腹が痛いと云うて学校を休むのです。どんなお医者に見せても治りません」

「そうか。それはわけはない。おれが見なくとも病気はなおる」

「ヘエ。どうすればなおります」

「朝の御飯を喰べさせるな」

「そうすればなおりますか」

「そればかりではいけない。昼のお弁当を息子に持たせずに、学校の先生の処へお使いに持たしてやれ。どんなことがあっても朝御飯と昼御飯をうちで喰べさせるな。そうすればお腹が空くからイヤでも学校に行くようになる」