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へんさいじょき

貢太郎見聞録

田中 貢太郎

田中貢太郎『貢太郎見聞録』。同一底本的分册已合并为一书。收入:変災序記、死体の匂い、日本天変地異記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,162 字 · 59 页

青空文庫

元慶元年四月の地震には、京中を垣墻悉く破壊し、宮中の内膳司屋顛倒して、圧死者を出した。陰陽寮で占わすと東西に兵乱の兆があると奏した。天慶は将門純友の東西に蜂起した年である。貞元元年六月の地震は、山城と近江がひどく、余震が九月まで続いた。延久二年十月の地震は、山城、大和の両国が強く、奈良では東大寺の巨鐘が落ちた。山城、大和の強震は、その後寛治五年にも永長元年にも治承元年にもあって、東大寺に災してまた巨鐘を落した。

元暦二年七月の地震は「平家物語」に「せきけんの内、白川の辺、六せう寺皆破れくづる、九重の塔も、上六重を落し、得長寺院の三十三間の御堂も、十七間までゆり倒す、皇居をはじめて、在在所所の神社仏閣、あやしの民屋、さながら皆破れくづるる音はいかづちの如く、あがる塵は煙の如し、天暗くして日の光りも見えず、老少共に魂を失ひ、調咒ことごとく心をつくす」と言ってある。「大日本地震史料」にこれを文治元年七月九日と改めてある。この地震は九月まで余震が続いた。区域は、山城、近江、美濃、伯耆の諸国に跨っていた。これには宇治橋が墜落し、近江の琵琶湖では湖縁の土地が陥落し、湖の水が減じたらしい。