轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

」

老夫人は蹴込へ片足、「脱心まいぞ。」

三吉は腕を叩きて、「確に、請合いました。」「よくせい。」とひらりと召す。梶棒を挙げて一町ばかり馳出だせる前面より、颯と駈来る一頭の犬あり。わんと吼ゆるを除けて通る、腕車と行違い遣過ごして、立停るはお丹なり。

鼠縮緬の頭巾の裡より、冷かなる瞳を放ちて「フウ、駿河台の猫股婆、縄張中へ踏込んだな。」

お丹かく呟くや否や、鼬のごとく道を走り、跡を追い、辻車に飛乗って、呆るる客待の車夫の手に帯の間より財布を投付け、

「何でも可い、その、あの腕車、早く追越せ。」

「なに、目を落したとえ、それはまあ。」と三吉が見て奥様と称えし美人。汚き畳へ駈上れば、

「うむ。」と腰を伸して老婆は起き、「やれ、汚穢うござります。」藁屑を掻寄せて一処に集め、

「せめてこの上へ、貴女、御衣服が台無しでや。」

槌で庭掃く追従ならで、手をもて畳を掃くは真実。美人は新仏の身辺に坐りて、死顔を恐怖覗き、

「可哀相なことをしたねえ。今朝私が薬を飲ましに来た時の容体ではまだこんな急なこともあるまいと思っていたに。お婆様なぜ取返しのならぬことをしてくれたえ。しばらくでも介抱した私やほんとに名残が惜い。