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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

「ほい。」「これは。」と二人は吃驚。

お丹は脈を伺いて、「ああ失策た。」と叫びしが、気を変えて冷笑い、「おい婆様、お前の口に合うように料理をしたばかりに、とうとうこの嬢を殺したよ。」

といいつつ震えている二人を顧み、「あのう、押入に繋いだ車夫を出してやんな。おい婆様。」

老婦人を後目に懸け、「もう用はこれなし、帰してやる。」

駿河台のお邸にては、夜に入りても御前様の御帰館無きより、心当を問合せ、御親類中へ使者を向くるに、いずくにも見えさせたまわず、皆目御立寄これなきよし。

さては珍事じゃ大変じゃと、邸内一統煤掃という見得で騒出し、家令はまず何はともあれ、警察へ届けて出る。御奥の老女は御神籤を下しに行く。

主思のお婢はお稲荷様へお百度を踏みにと飛出して、裏町へ回り焼芋を二銭買い、袂へ納れて御堂に赴き、お百度をいいまえに歩行きながらそれをむしゃむしゃ、またと得難き忠臣なり。

家扶は探検使として差向けらる、書生二人を引従え、御前様のお出先は、何しろ四谷、最寄近所は草を分けても穿鑿せんと、杖を携え、仕込杖を脇挟み、さも事々しく打立ちてお茶の水を渡ると家扶の武智「敵は本能寺じゃ、続き召され。