轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

06 鶯ばか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,626 字 · 45 页

青空文庫

江戸へ帰ってからもいいことはなかった。この三年ばかりこっち、五郎吉はあの発作こそ起こさないが、だんだん飽きっぽくなって来た。もともと眼はしのきくほうではないし、手に付いた職もないので、なにをやっても永続きがせず、あいだにおみよ、おいちと口がふえたので、彼女がどんなに内職で補っても、着て喰べることさえ満足にはできなかった。虎吉はぼんやりした子で役に立たず、女の子はまだ小さかった。その中で長次だけはよく気のまわる性分で、三つ四つのころから、ない知恵をしぼって母親を庇おうとして来た。

「ほんの三つ四つのころからなんです、とても先生なんかにはおわかりにならないでしょう」とおふみは云った、「晩めしのときに喰べる物がたりない、あたしはいつもみんなが済んでから喰べるようにしているんですけれど、喰べ物がたりないなと思うときに限って、長次も喰べないんです、おなかがすかないとか、腹が痛いから、なんて云いましてね、気をつけてみていると、少しでもあたしの口にはいるように、残しておこうとするんです」

「三つ四つの年でですよ」とおふみは繰り返し、「可愛い子だった」と、うっとりするように呟いた。