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せきようかんじけんのしんそう
赤耀館事件の真相
海野 十三
「新青年」博文館、1929(昭和4)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 页
なるべく静かに、そして端の方をもって……」
赤星探偵は六尺もあろうと思われる受信機の目盛盤を左の方から一つ一つ点検して行きました。点検すると言っても指でクルクルと廻してみるわけでもなく、二尺も離れた遠方から恐る恐る窺っているという風に見えました。それから急に一つ首を竪に振ると一つの小さい目盛盤をとりはずし、他のものと綿密に比較研究をしているようでした。それが済むと、室の一隅に置かれた無線の送受信装置やX線の発生装置がゴチャゴチャ並んでいる方をジロジロと見廻していましたが、配電盤の開閉器を全部きってしまうと、機械という機械の間を匍いまわり、変圧器の下に手をさし入れて掌を油だらけにしたり、丹念にボールトをはずして電動機を解体したりなぞやっていました。それでも彼が探し求めるものはないらしい様子で、遂には機械の中に棒立ちとなったまま、当惑顔にうちしずんで見えました。
「なにを探しているんだ、赤星君」呆気にとられていた尾形警部が声をかけましたが、探偵は口の中で返事をしたばかりであったのです。が何を思いついたか、先刻とりはずした受信機の方をふりかえると、彼の眼は燃え立つばかりに輝きました。