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ろじょう

路上

芥川 竜之介

午炮响后,图书馆陷入诡异的寂静,大学生俊助埋头书海,时间随着指针流逝,但这份平静下似乎藏着什么在悄悄酝酿。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,539 字 · 87 页

青空文庫

俊助は外套と角帽とを給仕の手に渡すが早いか、勢いよく野村の卓子の前へ行って、「待たせたか」と云いながら、どっかり曲木の椅子へ腰を下した。

「うん、待たない事もない。」

ほとんど鈍重な感じを起させるほど、丸々と肥満した野村は、その太い指の先でちょいと大島の襟を直しながら、細い鉄縁の眼鏡越しにのんびりと俊助の顔を見た。

「何にする? 珈琲か。紅茶か。」

「何でも好い。――今、雷が鳴ったろう。」

「うん、鳴ったような気もしない事はない。」

「相不変君はのんきだな。また認識の根拠は何処にあるかとか何とか云う問題を、御苦労様にも考えていたんだろう。」

俊助は金口の煙草に火をつけると、気軽そうにこう云って、卓子の上に置いてある黄水仙の鉢へ眼をやった。するとその拍子に、さっき大学の中で見かけた女の眼が、何故か一瞬間生々と彼の記憶に浮んで来た。

「まさか――僕は犬と遊んでいたんだ。」

野村は子供のように微笑しながら、心もち椅子をずらせて、足下に寝ころんでいた黒犬を、卓子掛の陰からひっぱり出した。犬は毛の長い耳を振って、大きな欠伸を一つすると、そのまままたごろりと横になって、仔細らしく俊助の靴のを嗅ぎ出した。