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みがわりのはなよめ
身代りの花嫁
野村 胡堂
「少女倶楽部」1934(昭和9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,685 字 · 22 页
「乱暴だね、勇美子は」
妹の大胆な計画に良一は、すっかり舌を巻いてしまいました。
「だって、そうするより外に工夫がなかったんですもの、――で、二、三年前お父様がお店から払い下げて来て下すった、マネキン人形があったでしょう、――ホラ、博覧会で大変評判になった、蝋人形よ」
「フム」
「あれにお姉様の着物を着せて窓際へ置いてやったの。すると本当の人間と聞違えて外から拳銃を撃ったんですもの」
「危いネ」
「それから、翌日はわざと詩子お姉様に庭などへ出て頂いて、相手を散々惑わせた上、その晩は人形を寝室へ寝かして、お姉様は私のお部屋へ泊ったの」
「…………」
「すると、悪者はやって来て人形を刺したんです。絨毯の下にスイッチを隠して、それを踏むと、電球式の閃光器が点いて、写真のシャッターが開くように仕掛けてあったんです。その仕掛を拵えるのにお姉様も手伝って下すったワ」
「どうも驚いたね」良一もこの小さい妹の智恵と働きには、二の句がつげません。
「でも、可哀相よ、人形が胸を撃たれたり刺されたりしたんですもの。今日は陽子さんや、陽子さんのお兄様もお呼びして、みんなで祝賀会を開きましょう。