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のうそん
農村
宮本 百合子
「多喜二と百合子 七号~十三号」多喜二・百合子研究会、1954(昭和29)年12月~1955(昭和30)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,223 字 · 97 页
絶えず、人の好い微笑を口にうかべて、何と云っても必ず、
「そうだけんども。
とつける人である。瀬戸物かきの名人だと云う評判もある。それは事実らしい。日に一度、焼物と焼物のぶつかり合う、あの特別な響のきこえない時はない。
「気をつけろっちゃ。
校長さんは怒鳴るのである。
毎週土曜に町まで通って、活花を習って居るのが流石はとうなずかせる。そんな時、主人は学校からかえって来て、南金錠を自分であけて雨戸を引きあけ細君の置いて行った膳に向って長い事かかって昼飯をするのである。
毛むくじゃって云っても、ああも毛むくじゃらなものかしらんと思うほどの毛むくじゃらで、髯は八の字に非常な勢ではね上り、その他の顔中、こまかい和毛の黒いのが一杯に掩うて太陽に面して立った時は、嘘でも御まけでもなく、顔から陽炎が、ゆらめきのぼって居る様に見える。
人は好い、その細君を大切にするだけ人が好いのである。私に少しまとまった話をするのは此人だけれ共、幾年か昔の記憶のままの頭は折々、妙な事を云わせる。人によって言葉を選まないから、或る人は威厳のある先生様だと思い、或るものは、分らない事を云う御仁だと思う。