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きんせいかいじんでん

近世快人伝

夢野 久作

「新青年」1935(昭和10)年4月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,469 字 · 157 页

青空文庫

式は型の如く運んだ。ジョリーさんが羅馬綴で書いた式文みたようなものを読み上げる時には皆起立させられたが、モウ足が痺れて立てない者も居た。

「吾等の……兄弟が……神様の……思召に……よりまして……」

というのを、一同は英語かと思って聞いていたという。以下引続いて儀式の模様を、済んだあとからの彼等の帰り途の批評に聞いてみる。

「耶蘇教の婚礼なんてナンチいう、フウタラ、ヌルイ(風多羅緩い? 自烈度いの意)モンや」

「そうじゃない。あれあ大病人の祝言じゃけに、病気に障らん様、ソロオッと遣ってくれたとたい。毛唐人なあ気の利いとるケニ」

「一番、最初に読んだ分は何じゃったろうかいね」

「あれあ神主がいう高天が原たい。高天が原に神づまり在しますかむろぎ、かむろぎの尊――オ……」

「うむ。そういえば声が似とる。成る程わからん事をばいうと思うた」

「ところでそのあとからアイツ共が歌うた歌は何かいね。オオチニ風琴鳴らいて……」

「花嫁御のお化粧の広告じゃなかったかねえ。雪よりも白くせよなあ……てクタビレたような歌じゃったが……」

「ウム。俺あ西洋洗濯の宣伝かと思うた」

「立てて云うけに俺あ立って聞きおったら、気の遠うなってグラグラして来た。