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きんせいかいじんでん

近世快人伝

夢野 久作

「新青年」1935(昭和10)年4月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,469 字 · 157 页

青空文庫

学問のある人の書くような読み易い字で、帳面をば附けたなら私共の商売は上ったりで……。つまり何分かの口銭を取った上に、数える時に儲ける。帳面に附ける時に又輪をかける。独博奕の雁木鑢という奴で行き戻り引っかかるのがこの市場商売の正体で、それでもノホホンで通って行くところが沽券と申しますか、顔と申しますか。しかもその詐欺と盗人の附景気のお蔭で、品物がドンドン捌けて行きますので、地道に行きよったら生物は腐ってしまいます。世の中チウものは不思議なもんだす。

……ヘエ。博多児の資格チウても別段に困難しい資格は要りません。懲役に行かずに飯喰いよれあ、それで宜え訳で……もっともこれが又、博多児の資格の中でも一番困難しい資格で御座います。ほかの資格は何でもない事で……個条書にしたなら四ツか五つ位も御座いましょうか。

◇第一個条が、十六歳にならぬ中に柳町の花魁を買うこと――

◇第二個条が、身代構わずに博奕を打つ事――

◇第三個条が、生命構わずに山笠を舁ぐ事――

◇第四個条が、出会い放題に××する事――

◇第五個条が、死ぬまで鰒を喰う事――

◇第六個条が……まあコレ位に負けといて下さい。