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こんどういさみとかがく
近藤勇と科学
直木 三十五
「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页
それで、堪えきれ無くなって旗本から、将軍へ出した事があった。
「質主と申者御座候、武器、衣類、大小、道具等右質屋へ預り其値半減、或は三分の一の金高を貸渡、利分は高利にて請取候、武家にても極難儀にて金子才覚仕候ても、貸呉候者御座無候節は」
という有様であった。そして、旗本はその中で、三味、手踊を習っていた。
「甲府へ立籠って――」
という声がした。二人が、振向くと、近藤と、土方とであった。二人は、丁寧に、御叩頭をした。
「八王子には千人同心が、少くとも二小隊は集る。菜葉服が二大隊、これも御味方しよう。甲府城には、加藤駿河の手で、三千人、それに、旗本を加えて、五千人は立所に揃うであろう。これで、一戦しようで無いか」
「然し、京都での、新撰組の勢力とはちがうから、吾々の下へ集ってくるのが――」
「それは、相当の役所になって、公方の命令という事にしよう。もし、公方の命令で集らなかったら、それは是非もない事だ」
二人は、帆綱の上へ、腰かけて話していた。金千代が
「せめて、甲府でなりと、手痛く戦いたいですが、今の人数の中へ御加え下さいませんか」
近藤は、頷いた。水夫達は、一生懸命に働いていたが、敗兵達は甲板で、煙草を喫ったり、笑ったりしていた。