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こんどういさみとかがく

近藤勇と科学

直木 三十五

「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页

青空文庫

「よかんべえ」

竜作が

「雪だ」

と、いった。障子を開けると、ちらちらと降り出していた。

今宵も、雪に、しっぽりと、

卵酒でもこしらえて

六つ下りに戸を閉めて

二人の交す、四つの袖、

「ようよう、俺らあ、酔ったよ。金公、金的、もっとしっかり、抱いてくんしょ」

酌婦は、豚のような身体を、金千代に、すりつけた。

四

一人が

「早馬だ」

と、叫んだ。腹当へ、大きく「御用」と、朱書した馬に乗った侍が、雪の泥濘を蹴って走ってきた。

「留めろ」

近藤が叫んだ。二人の旗持が、旗を振って

「止まれ。止まれっ」

兵が二三人。大手を拡げて

「止まれえ」

「何故止める」

馬の手綱を引締めて、侍が、不安と、怒りに怒鳴った。

「甲陽鎮撫隊長、近藤勇だ。何処の早馬か」

「おおっ――これは、甲府御城代より、江戸表への早馬です」

「敵の様子を知らんか」

「それを知らせに行くんです」

「何処まできた」

「昨夜、下諏訪へ入りました」

「下諏訪?――甲府まで幾里あるかな」

「十三里です」

「ここから、甲府までも、そんなものか?」

「ここからは十七里です」

「十七里か?」

近藤は、土方に

「急げば、間に合おう。敵に入られてはならぬ。