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こんどういさみとかがく
近藤勇と科学
直木 三十五
「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页
(あれが、弾丸の道だ。研究して見えぬ事は無い)
と思った。
前面の野、林、道に、一斉に白煙が、濛々と立ち込めた瞬間、銃声が、山へ素晴らしく反響して、轟き渡った。と、同時に、ぶすっという音がして、土俵へ弾丸が当ったらしかった。近藤は、振向いて、何処へ当ったか見ようとしたが、判らなかった。びゅーん、と耳を掠めた。
白煙が、一杯に、低く這ったり、流れたりして、兵も、土地も林も判らなくなった。その煙の下から、敵が、又前進しかけた。土方が、大声で
「撃てっ」
と叫んだ。
「大砲っ」
「大砲、何してるかっ」
兵が、怒鳴った。後方の大砲方は、身体をかがめて、大砲を覗いたり、周章てて、砲口を上下させたりしていた。一人が、向鉢巻をして
「判った」
と、叫んで
「除けっ、微塵になるぞっ」
口火をつけた。兵は、耳の、があーンと鳴るのを感じた。空気が裂けたような音がした。その瞬間、すぐ前の木が、二つに折れて、白い骨を現したかと思うと、土煙が、土俵の前で、四五尺も立昇った。
味方の弾丸は、前方の煙の中へ落ちて、土煙を上げた。
(今に、破裂する)
と、兵も、近藤も、土方も、じっと凝視めていた。