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このえないかくのじょうしきせい
近衛内閣の常識性
戸坂 潤
「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,545 字 · 13 页
まして、広義国防をやだ。だがそれにしても、狭義国防よりも広義国防の方が民衆のためであるという常識は間違ってはいない。何しろ広義国防と云っても、決して狭いものではなくて、意味が狭ければ狭い程実体の分量は広大無辺なのだから。
で近衛内閣が林内閣の罪滅ぼしに登場したと称しながら、林内閣の原則を用意した広田内閣そのものの復活であるという逆説をば弁解する唯一の要点は、近衛内閣の広義国防主義への転向ということだろう。だが勿論、広義国防主義はすでに広田内閣の表看板であった。林内閣でも之を看板としなかったのではない。して見ると、広義国防主義への転向というのは、転向でも何でもなくて、広田=林=内閣の一つづきの方向を単に一層推し進めただけのことで、之を広田内閣への復帰と考えることさえ野暮であり、まして之を林内閣のより民衆的なものへの修正や革新などと考えるなどは、途方もないことと云わねばならぬ。
新聞の報じる処によると、企画庁(之は云うまでもなく準戦時体系化の経済・政治・社会・思想・文化の統制のための最高府である)の下に立つ賀屋財政に於ては、陸軍は少なくとも九億、海軍は又八億以上の予算を要求するだろうと云われている。