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このえないかくのじょうしきせい

近衛内閣の常識性

戸坂 潤

「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,545 字 · 13 页

青空文庫

事実近衛内閣によって「国内相剋」は多少とも緩和された。と云うことは不必要な刺激的なイデオロギーが清算されて来たということである。日本型ファッショ化にとって、不必要なイデオロギーがだ。必要なのは「祭政一致」の提唱や反「自由主義」ではない。

専ら「広義国防」という国防絶対至上主義と、根本的な反民主主義とである。つまり民主的な社会政策の代りに広義国防、デモクラシーの代りに政党改革(新党運動・選挙法改革等)、というわけなのである。かくて今日の日本の政治の目的はより常識的に遂行されることとなる。かかる現代政治支配者の常識の選手が、他ならぬ近衛公爵であるわけだ。――民衆は依然として、かかる支配者の支配的常識を、また自分自身の常識として服用すべきであろうか。

(一九三七・六)