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ちかごろのわだい

近頃の話題

宮本 百合子

「東京日日新聞」1937(昭和12)年7月17~21日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,932 字 · 14 页

青空文庫

夫人は、その教養でワインガルトナーが芸術家として到達しているところの価値を十分に理解しているのであろう。技術の高さをも評価しているのであろう。だが気質や年齢やの相異から技術的にもつべき特質というものもワインガルトナーと夫人の芸術家としての生活は、教養で音楽を深く理解する範囲では今日でもすでに傑れているに相異ないが、自分の生活で音をつかんで来るという、人間生活の風雨と芸術の疾風にさらされた味は感じられないのである。

師匠のいらない文学と音楽とはちがうから、卓抜な先生を良人としているカルメン夫人は一面最もよい環境にいるわけである。ところが、この条件が却って夫人の持ちものを未熟なままにふっきらせ切らない。完成した形が外から筺をはめているのである。夫人の現在の悲劇は恐らく玄人仲間でそれをありのまま彼女に告げるものがないであろう彼女の地位にある。

あの頃と今日

『文芸』の八月号に除村吉太郎氏を中心に現在のソヴェト同盟の文学と作家生活とを語る座談会記事がある。いろいろの点から興味ふかく読んだひとが尠くなかったろうと思う。社会生活の質が変って来ていることから読者大衆と作家との関係が、従前のロシアのように、また現に他の諸国の事情がそうであるように、文化的水準で隔離されたものでなくなって来て、狭義での批評家の