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まよいみち

迷い路

小川 未明

「読売新聞」1906(明治39)年8月12日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,159 字 · 9 页

青空文庫

」

「この、杉林も通ってまだまだ奥へ行ったよ。」

「僕も……あれ、兄さんこの道は此処で二筋に分れてしまった。」

今迄二人の歩いて来た、道が二筋に分れて一つは広い道幅の平な道であります、それに比べると他の一筋は小石のごろごろと転っている、険岨の道で草の中に半分隠れていて余り人の通らない道のようであります。

「二郎やこの広い道を行くんだよ。」

「いいえ兄さんこの細い道を行んですよ。」

「だって、僕は夢にこの道へ行ったのを見た。」

「僕はこの道を行ったよ。」

「この道の方が真実だ。」

「いいえこちらが真実だ。」

「僕は此方へ行く。」

「僕は此方へ行きたいな。」

「二郎ちゃんこの方が歩きよくていいや。」

「兄さん、此方へお出でよ。」

「いやだ!」

「じゃ、私は一人で行くわ。」

兄は怒った、さっさっと広い道の方を歩いて行きます。今は二郎も意地張て、己は此方へ行くと歩いて、細い道を辿り辿り、一丁も来て、兄の後姿を見送った時には、いつか峠に遮られて、道は曲っていて、兄の姿は見えなくなったのであります。又一二丁も来ると道がだんだん嶮しくなります。

傍の雑木林で四十雀や、山雀が鳴いています。