轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まよいみち

迷い路

小川 未明

「読売新聞」1906(明治39)年8月12日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,159 字 · 9 页

青空文庫

二郎は物怖ろしくなって、乞食の知らない間に通り抜けようと駆け出しましたが、乞食は別に此方を振向こうともせんで、やはり疲れた風で泣くような胡弓を鳴らしていたのであります。二郎は昼の中に弁当を食べ尽して、何か食物を買うところはないかと思って、考えていますと、遠くの方で太鼓の音が聞えているので、早速その方を志して道を急ぎました。

案の如く彼方に大きな森が見えたのであります。二郎はこの時昨夜の夢を思い出して、少しもこの辺の景色が違っていないことをたしかめました。「ああ、兄さんは何処へ行ったろう。」と兄の身の上を案じながらも、早く母さんに遇おうと思う一念で森の燈火の見えるのをそれと思って駆けて参りました。だんだん暗い大きな森の中へ入って行きますと、月の光も差さず、物凄い風の音が聞えて、始めのうちは狐にばかされたと思っていましたが、その中に遽ち目の前に賑やかな、お祭の景色が見えました。紅、青、紫色の燈火が星のように輝やいて、行手の道の両側には見物店や、食物店が、それはそれはちょうど九段の招魂社の祭りに行ったように奇麗に居並んでいて、其処を往来するお姫様や、小供の姿が手に取るように見えます。