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ついおくのいしたち
追憶の医師達
寺田 寅彦
「実験治療 第一五六号」1935(昭和10)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,362 字 · 5 页
横山先生のところへ連れて行くと、先生は一目見ただけで、これはじきに直る、毎日上白米を何合ずつ焚いて喰わせろと云った。その処方通りにしたら数日にしてこの厄介な奇病もけろりと全快した、というのである。この患者は生れてその日までまだ米の飯というものを喰ったことがなかったという話であった。
小松の若先生でも楠先生でも、もし無事だったらまだ生きておられてもいい年輩であったが、二人とも壮年で亡くなられた。そうして大人になるまで生きるかどうかと気遣われた自分が、これらの先生方のおかげでどうにか生き延びて、そうしてこれらの人達よりも永生きをしているわけである。(昭和十年一月『実験治療』)