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とじょうのはんにん

途上の犯人

浜尾 四郎

「犯罪科学」1930(昭和5)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,477 字 · 38 页

青空文庫

「時に、今日あなたは相川という男と一緒に来られたそうですが」

「一緒にったって全く知らん男なんですよ。同じ車に乗ったら急に向こうから私に話しかけるんで、私も退屈凌ぎに相手をしていたわけです。しかし停車場ではとんだ目にあいましたよ。一緒に歩いてくれと云うので、一緒に歩いてやったんですがね。どうも一寸キ印じゃないんですか」

「いや、そうですか、全く御関係はないのですか」

「無論ですよ、何か彼と共犯関係でもあるという御疑いなら御免蒙りたいものですな」

これは勿論、半分冗談のつもりだったが、共犯関係という、或る犯罪を前提にした言葉は彼の為に聊か不用意だったとすぐ感じた。果たして署長はやはり半ば冗談らしくこういうのである。

「いや勿論そんな事は思いはしません。しかし、何か彼は大分いろんな事を、あなたに白状したそうですね」

この言葉は、私を疑っているのでない事は明かに判っているけれ共、法律家としてはこれに対してうっかりは乗って行かれない。

「ええ、何かへんな事を云っていましたよ。まあ出鱈目ですね。気狂いじゃないんですか」

私はこう答えると、つづいてこっちから質問した。