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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

丘浅次郎『進化と人生(上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人類の生存競争、教育と迷信、誤解せられたる生物学、人道の正体、生物学的の見方、生物学より見たる教育、戦争と平和、動物界における善と悪、脳髄の進化、民族の発展と理科、理想的団体生活。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 页

青空文庫

かような部分よりなり立った脳髄は、何の働きをする器官であるかというに、大脳は第一に自己の存在を知る意識の作用をつとめるところで、もし頭骨を切り開いて大脳をあらわし、その表面に少しく圧力を加えるか、または頸部の血管を縛って大脳へ行く血液の流れを暫時止めて、酸素の欠乏を生ぜしめたりすれば、その人はたちまち意識を失うて人事不省のありさまにおちいってしまう。魔睡薬の働きもこれと同じく、全く大脳の作用を一時止めるにある。かくのごとくにして大脳の働きの止まった人間、または試験のために大脳を切り除いた犬猫などは、あたかも睡眠中のごときありさまで、呼吸、脈搏等はほぼ平常のとおりであるが、ただ意識のみが消え失せて、一種の自働器械となってしまう。なお詳しくいえば、大脳は知、情、意のごときいわゆる精神的の作用をする器官であって、この器官が完全に備わり、かつ完全に働き得る場合においてのみ、かかる精神的作用が十分に現われるのである。小脳の働きについてはいまだことごとく知れぬ点もあるが、従来の実験によると、身体各部の運動を調和一致せしめて、ある一定の目的にかなわしめることである。