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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

丘浅次郎『進化と人生(下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:自然界の虚偽、進化論と衛生、動物の私有財産、民種改善学の実際価値、我らの哲学。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 页

青空文庫

過ぎぬ。人間の性質として、彼の欲する物を我が持つか、我の欲するものを彼が持つかすれば、たちまち争いの起こるは当然のことで、このことは三歳四歳の子供らに数種の玩具を分かち与えても明らかに知れるが、生まれながらにしてかかる性質を備えた人間が、多数相集まって生活しているのであるから、社会の制度ばかりをいかに改めたりとて、争いの絶える望みはとうていない。その上「金持と灰吹とはたまるほど汚ない」ということわざのとおり、人間の欲には決して際限がないゆえ、あたかも無限大の頬嚢を有する猿のごとくで、その間の争いのはげしくかつ長かるべきはもとより覚悟しなければならぬ。動物の中には蜂、蟻のごとく、もしくは苔虫のごとく、一団体内の個体間に少しも争いのないものがあるが、これらの動物はそれぞれ一定の進化の順路を経て、今日のありさままでに発達しきたったのであるゆえ、今の人間が一足飛びにその真似をしようと望むのは、まことに無理な注文である。

次に私有財産の不平等なること、およびその不平等ならざるべからざる理由も、人間と他の動物との間に少しも相違はない。同じモグラ同志の間にも嗅感の鋭い土を掘ることの巧みな者もあれば、また嗅感のやや鈍い、土を掘ることのやや拙な者もあろうが、これらが同一の蚯蚓を追うにあたっては、前者がまずこれを捕えておのれ