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しぜんかいのきょぎ
進化と人生(下)
丘 浅次郎
丘浅次郎『進化と人生(下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:自然界の虚偽、進化論と衛生、動物の私有財産、民種改善学の実際価値、我らの哲学。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 页
かくのごとく、動物でも植物でも、一代ごとに種を選んで生殖せしめさえすれば、その種類を改良することは必ずできるのであるから、動物の一種なる人間もむろんこの方法によって改良のできるはずである。民種改善学はこの根本の理屈を基として、実際の社会にこの理を応用すべき途を講究する学問であるが、これにはまず遺伝の現象を研究して、その法則を採り求めることが必要である。それゆえ今日、民種改善に関する研究といえば大部分は遺伝の研究である。ロンドンの民種改善学研究所から出した報告のごときもそのとおりである。
さて人間が社会を造り国家をなして多数相対立している以上は、身体、精神の優良なることは何よりも大切である。他にいかにすぐれた点があるとしても、身体および精神の健康状態が他国の人に比して劣っていては、今後の列国競争場裡に有利なる位置を占めるべき見込みはない。されば、身体精神の健康いかんということは、国家、民族にとって最も重大な問題であるが、民種改善学は学理の示すところに従うて、その向上をはかるものであるゆえ、政治の局にあたる者も教育に従事する者も、一日もゆるがせにすべからざる性質の学科といわねばならぬ。