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うんめいろんしゃ
運命論者
国木田 独歩
「山比古 第十號」1903(明治36)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,357 字 · 34 页
『妙ねえ母上、不動様が如何して母上と信造さんとには関係があって私には無いのでしょう。』
『だから私が頼むのじゃアありませんか、理由が言われる位なら頼はしません。』
『だって無理だわ、信造さんに不動様を信仰しろなんて、今時の人にそんなことを勧たって……』
『そんなら頼みません!』と母は怒って了ったので、僕は言葉を柔げ、
『イヤ私だって不動様を信じないとは限りません。だから母上まア其理由を話て下さいな。如何なことか知りませんが、親子の間だから少も明されないようなことは無いでしょう。』と求めました。これは母の言う処に由て迷信を圧え神経を静める方法もあろうかと思ったからです。すると母は暫く考えて居ましたが、吐息をして声を潜め、
『これ限りの話だよ、誰にも知してはなりませんよ。私が未だ若い時分、お里の父上に縁かない前に或男に言い寄られて執着追い廻されたのだよ。けれども私は如何しても其男の心に従わなかったの。そうすると其男が病気になって死ぬ間際に大変私を怨んで色々なことを言ったそうです。それで私も可い心持は仕なかったが、此処へ縁づいてからは別に気にもせんで暮して居ました。