轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かじょうのいしき

過剰の意識

中井 正一

「シナリオ」1951(昭和26)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,259 字 · 5 页

青空文庫

朝の満員の省線電車の中にラグビーのごとく突入して、ひしめくおたがいの中にわきいでる無意味な憎しみ、肌と肌をこんなに密着しながら、顔と顔を、こんなに寄せあいながら、おたがいに理由なく、水のようにみなぎっている憎悪の中に沈みゆられているのである。

「おはよう」というかわりに、東京では数百万の人がこの憎しみの中に浸され、「おやすみ」というかわりに、また数百万の人がこの哀しみの中にもまれて、その一日を過ごすのである。歴史が始まって、こんなかたちの人間の集合があったであろうか。お祭にせよ、戦争にせよ、もっと散らばり、もっとはっきりした感情の理由と自由をもっていた。

ただ過剰であることの理由で、こんなに憎みあっている人間の集合は、いずれの文化段階にも存在しなかったであろう。過剰の中に、さらに過剰たらんとして突っ込んでいく朝な朝な、夕な夕なの東京の人間集合、日本知識人の意識機構「意識の過剰」の、一つの象徴であるかのようである。何か過剰なるもの、こころを、これくらいあらわしているものはないであろう。

私は一つの童話を思い起す。強い力の巨人があった。彼は大地に身を置いているかぎり、その力を失わない。