轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かさんかマンガンすいのゆめ

過酸化マンガン水の夢

谷崎 潤一郎

「中央公論 七十周年記念十一月特大号(第七十年第十一号)」1955(昭和30)年11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,458 字 · 25 页

青空文庫

それがまだその姿のまゝで胃袋の中で暴れているように思う。鱧の真っ白な肉から、浴槽の中で体じゅうの彼方此方を洗っていた春川ますみの連想が浮かぶ。葛の餡かけ、………ぬる/\した半流動体に包まれていたのは鱧ではなくて春川ますみ、………いや、いつの間にかドラサール学園の校長ミシェルが浴槽にいる。シモーン・シニョレの情婦がミシェルを水中に押し込んでいる。ミシェルはもう死んでいる。濡れた髪の毛がぺったりと額から眼の上に蔽いかぶさり、その毛の間から吊り上った大きな死人の眼球が見える。

その時もう一つ奇怪な幻想が這入って来た。予の書斎には予の専用の水洗式の洋式便所があり、予は毎朝そこで用を足しながら不思議なことを考えるのだが、それが浮かんで来たのである。いったい予がこう云う洋式便所を設けるに至ったのは、大阪国立病院の布施博士の意見に依るもので、高血壓症の人は成るべく日本式の蹲踞る便所を避ける方がよい、老人はしゃがんで力む時に脳溢血を起し易い、と云う警告に基づいて腰掛け式便所を作ったのであるが、自分の排泄物を自分の眼で検査するには此の式のものが最も便利である。日本式水洗ではあまり露骨で見るに堪えないが、洋式のものは水中に沈んでいるのでアルコール漬の摘出物を見るように冷静に観察し得る。