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みちづれ
道づれ
宮本 百合子
「文芸」1937(昭和12)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,491 字 · 41 页
「これ――宏子さん」
と紹介した。
「太田さんての」
こういう人に会うことを予期していなかった宏子は、黙ってはる子のそばを歩きながら軽く頭を下げた。
「すこしゆっくりしてもいいのかい」
「いいんです」
小道の幅が三人歩くに窮屈であったばかりの理由でなく、二人は宏子より少し先を行って、事務的に何か話しつつ歩いた。
暖い色の藁で霜よけをされた芭蕉があるきりのまだ淋しい花壇に添うた陽だまりのベンチの一つで、中年の男がインバネスの袖を肩へはね上げてかがみこみ、別に灰がたまっているのでもないのに、頻りと機械的に人さし指をうごかして巻煙草の灰をはたいている。わきに、頸のまわりに薄水色の絹をまきつけて、大きな七三に結った女が、両手を懐手にしていた。女はその前を通りがかった三人を無遠慮に眺めながら、音を立てて齲歯をすった。おくれ咲きの白梅の花が見える東屋のところで彼等は腰をおろした。小さい広場がゆるやかな傾斜のむこうにあって、こっちからは遠い方の端れで、三四人、印バンテンがきのうの風で吹倒された樹を起す作業をやっている。
太田と紹介された青年は、帽子をぬいで、はる子に親しげな飾りない調子で、