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どうとくのかんねん

道徳の観念

戸坂 潤

在线阅读戸坂 潤《道徳の観念(どうとくのかんねん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,388 字 · 140 页

青空文庫

パスカル(『パンセ』)やラ・ロシュフコー(『道徳的省察』――『箴言録』)を見れば、この(内部的)人間学が何であるかは容易に判る。そこでは自分は、人間の名に於て、社会的認識とは殆んど全く独立に、探究されている。之に較べれば、ラ・ブリュイエール(『性格』)やモンテーニュ自身は、実はもう少し社会的関心をもった「自分」であったかも知れない。

だがそれにも拘らず、モラリストは、文学とモラルとの必然的な結合を、その意味で、道徳に関する文学的観念の一つの典型を、思想史の内に印象づけた。その歴史的意義は之を尊重し又利用すべきだろう。――もし多少の歴史的語弊を忍ぶとすれば、道徳に関する文学的観念は、正にこのモラリスト的な道徳観念だと云っていいかも知れぬ。ただ吾々に必要なのは、之が科学的認識、特に社会科学的認識を踏み渡った上での、道徳・モラルでなければならぬという点だったのである。

最後に科学と文学とを図式的に対比させることによって、文学的観念による道徳なるものの、一つの総括的な意味を、云い表わしておきたい。――科学は云うまでもなく事物の探究だ。文学も亦この科学的探究を踏み渡った揚句、課題を新たにした事物の探究である。