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なかがわのすずきつり

那珂川の鱸釣り

佐藤 垢石

「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,507 字 · 7 页

青空文庫

鉤素はテグスの一分二厘乃至一分半が適当である。鈎はフッコの一寸。錘は一匁から五匁くらいまで用意し、これを時刻と流速を考えて、適当につけるのである。

鈎へ蝦をさすのに、秘密がある。これは、誰にも教えてはいけませんよ。まず、蝦を右の手の二本指でつかまえて、尻の方から腹の三節目へ、鈎先をさす。その場合、腹の中央に頭から尻へ一直線に朱色の線が張っているが、それは神経であるから、必ず鈎先を神経に触れてはいけない。そして、鈎先を背中へ抜く。

こんなふうに、鈎先をさすと、蝦は二、三十分くらいの長い間、活きているまま水中に泳いでいるから、活き餌を好む鱸の眼につきやすい。二、三十分して、魚の当たりのないときは、餌を調べてつけ替える。

さて、狙い場所だ。川へ遡り込んできた鱸は、海にいるときと同じように甚だ貪食だ。真冬の間は、深い淵や瀞にひそんでいるけれど、それでも餌を追うことを忘れない。だが、午後四時頃からが彼等の活動の時間である。真夏の陽が、西の地平線へ一丈ばかりのところへ近づいてくると、鱸はそろそろ浅場へ泳ぎだしてきて、餌である蝦や小魚を追いまわすのである。もし、浅場の水面を蝦や小魚が跳ね上がって、小刻みに逃げる動作を見たならば、その辺には必ず鱸が餌を漁っているものと考えてよろしい。