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きんぞくにんげん
金属人間
海野 十三
「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页
どのようにして谷間三根子が死んでいたか。そして、そこはどんなぐあいに外からの侵入をゆるさない密室であったか――を、まずのべたいと思う。
谷間三根子はお手伝いさんであった。としは二十三歳であった。お三根さんと呼ばれていたから、これからはお三根と書こう。
お三根は、ほかのお手伝いさんとはちがい、ひとりだけ針目博士の研究所である煉瓦建の建物の中に部屋をあたえられて住んでいた。もっともそれは主家から廊下がのびてきているとっつきの部屋であった。
お三根がそこにいるわけは、博士が仕事をしているとき、きゅうに雑用ができた場合に、すぐさまとんで行けるためだった。
博士は主家に寝室があったが、研究は徹夜でつづけられることもすくなくなかったし、またそのまま研究室の長いすで寝てしまうこともあったから、どっちかというと、博士はいつも研究室の屋根の下で暮らしていたといったほうがよいであろう。
さてそのお三根は、三月一日の朝、いつまでたっても起きてくるようすがないので、朋輩の者どもがふしんに思い、お三根の部屋のまえに集まって、入口のドアをわれるようにたたきつづけた。
だが、お三根はやっぱり起きてこなかったし、部屋の中で返事もしない。