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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

それを指先でつまんで、下の方へ、力いっぱいはぎとればいいんだ」

なんという惨酷な命令だろうと、蜂矢は、この命令を拒絶しようと考えたが、ちょっと待った、なるほどそれにしてはおかしい額ぎわの皮のまくれ工合だ。

(ははあ。さては……)

と、かれはそのとき電光のように顔の中に思い出したことであった。もうかれは躊躇していなかった。いわれるままに、そのまくれあがった額のところの皮を指でつまんで、下へ向けてひっぱった。

すると、おどろいたことに、皮は大きくむけていった。皮の下に、白い皮下脂肪や赤い筋肉があるかと思いのほか、そこには、ごていねいにも、もう一つの顔面があった――蜂矢探偵の手にぶらりとぶら下がったものは、なんと顔ぜんたいにはめこんであった精巧なるマスクであった。

そのマスクの肉づきは、うすいところもあり、またあついところもあり、人工樹脂でこしらえたものにちがいなかった。

マスクのとれた下から出てきた新しい顔は、どんな顔であったろうか。

それは針目博士とは似ても似つかない顔であった。頬骨のとび出た、げじげじ眉のぺちゃんこの鼻をもった顔であった。

「あッ」

蜂矢探偵は、あきれはててその顔を見守った。